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つい読みたくなる議事録 グラフィック・レコーディングで楽しく副業 (1/2ページ)

吉田由紀子
吉田由紀子

 皆さんは、会議やミーティングの際、どうやって議事録を作成しているだろうか。おそらく文章で記録する方が大半だと思う。しかし、文字だけでなく、絵や図も使って記録を残しておくと、内容を把握しやすくなる。実はこの手法を「グラフィック・レコーディング」と呼んでおり、いま注目を集めている。

 いくら仕事に必要とはいえ、文字ばかりが並ぶ書類は、どうしても読む気が失せてしまう。でも、イラストや図があれば、内容が分かりやすいし、見て楽しい。こういった理由でグラフィック・レコーディング(以下、グラレコ)は、1960年代から欧米のビジネス現場で活用されてきた。近年では日本でも普及しつつあり、グラレコを始めたい人が増えている。

 人気の理由はどこにあるのか。グラフィック・レコーダーとして活躍している岸智子さんに取材をしてみた。岸さんは、講師として小さなお子さんから一般人まで幅広くグラレコを教えており、一般財団法人・生涯学習開発財団の認定ワークショップデザイナーなどの資格を持っている。イベントやワークショップで実際にグラレコを描く機会も多いプロフェッショナルだ。

 手で描くことで伝わるものがある

 「グラフィック・レコーディングは絵や図、色を用いてカラフルに描いていく記録法です。一般的な議事録と少し違うのは、プロセスが記録できる点にあります。その場で起きたこと、話したこと、感じたことを描き手の目線で自由に記録する、それがグラレコの特長です」(岸さん、以下同)

 ITツールが進化した今では、会議の様子は簡単に録音・録画できる。しかし、あえて手で描くことで伝わるものがあるという。

 「参加者の表情や感情、ミーティングの雰囲気など、その場にいなければ分からないものです。こういった細かいニュアンスを記録できるのが、グラレコの良さだと思います。人の感情を言葉で表すのは意外と難しいものですが、イラストならば一目で分かりますよね。そういう意味で、絵文字や顔文字に似ているのかもしれません」

 絵や図によって情報が共有しやすくなり、自然と会議が盛り上がる。また、参加者の上下関係がフラットになり、誰でも発言をしやすくなる。会議が途中で脱線しても、プロセスが目の前にあるので、元に戻しやすい。こういったメリットもグラレコにはある。

 「グラレコに絵の才能は必要ありません。私の講座に参加する方も絵の苦手な方が大半です。線を引いたり、図形を描いたりするうちに、だんだん慣れていきます。楽しみながら絵を描けるように講座にはゲーム要素を取り入れ、工夫しています。終わった時には、皆さんすっかり楽しんでいるようで、続けてみたいという方がとても多いんです。ふだんはパソコンを持ち歩いていたが、グラレコを体験してからスケッチブックに換えた。そんな方もいます。グラレコはペンを持って手を動かすことで脳が刺激されるのだそうです」

 「副業として始めたい」急増

 このグラレコを「副業」として始めたい人が、いま急増している。大手クラウドソーシングのランサーズ株式会社では、7月にグラレコを体験するセミナーを開催し、大きな反響があった。

 「弊社の会員にアンケートをとったところ、クリエイティブな仕事を希望する方が多かったのです。とはいえ、デザイナーとかイラストレーターになるには、高価なツールが必要です。ならば、まず紙とペンでできることから始めてはどうか? そう考えてグラレコのイベントを開催しました」(ランサーズ株式会社スマート経営推進室長・根岸泰之さん、以下同))

 同社が主催するイベントは、通常、参加者は100名程度だが、この回には300名を超す参加者があったという。

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